アナログな観劇仲間

 
道楽予定の無い週末。
杉よりも檜の花粉に過敏に反応するらしい体質の私にとって、丁度良い休息日。
 
どうでもいい人にとっては、どうでもいい話。
 
ふと気付くと、もう何年も前から、様々な劇場でかなりの高確率で遭遇する女性二人組が居た。
彼女達は、私と同様に、歌舞伎も観れば、オペラも聴く。バレエも観る。
彼女達を認識したのはいつの日だったのか。もう定かではない。しかし、今は無き「チケットぴあ」A店で、チケット確保の為に朝から並んでいる姿を見た時には、既に認識していた筈。
スケジュールがこんなにかち合うものなのだろうか、と不思議な縁を感じていた。
 
そして、一年半前の帝国劇場。『ミス・サイゴン』戸井勝海トゥイの初見日。
気付くと、あの二人組が隣りの席! こんな機会はもう無いかも知れないと思った私は、思い切って声を掛けた。彼女達も私を認識していた。二人は姉妹だった。
その後は、様々な舞台の話題。最後には自己紹介をして、又何処かの劇場で...と別れた。
 
二人とは知り合いに成った後も、メールや携帯でのやり取りは一切していない。だから、正真正銘の偶然任せなのだが、その後も何度も遭遇しては、その度に最近観た舞台の話やチケット確保の話等、いつも話題は尽きない。
一番最近では、火事騒ぎを起こす前の『滝沢演舞城』での遭遇。もはや幼馴染みに近い感覚で、挨拶もそこそこに舞台の話に突入する私達。
 
インターネットや携帯電話等、デジタルが幅を利かす世の中だけれど、こういうアナログな縁も細々と大切にしていきたい。だって、舞台芸術とは元々アナログなものなのだから。