『壽 初春大歌舞伎 夜の部』 歌舞伎座
お正月の歌舞伎座夜の部は、舞踊二本と芝居一本の構成。
一、『鶴寿千歳(かくじゅせんざい)』
姥 芝 翫
尉 富十郎
松 歌 昇
竹 錦之助
梅 孝太郎
“歌舞伎座百二十年を祝うにふさわしい箏曲の舞踊”と説明に有る通り、舞台上はお正月らしい華やさと清々しさに溢れている。全体で十五分程度の短い舞踊。
二、『連獅子(れんじし)』
狂言師右近後に親獅子の精 幸四郎
狂言師左近後に仔獅子の精 染五郎
僧遍念 高麗蔵
僧蓮念 松 江
お馴染みの連獅子を、幸四郎さんと染五郎くんの親子で舞う舞台。
染ちゃん贔屓なので、親子と言えども、染ちゃんの良さばかりに目が行ってしまう。染ちゃんが至極真面目に隅々まで手抜き無く、手抜かり無く踊っているのに対し、幸四郎さんの舞踊はどう観ても省エネタイプ。毛振りの回数も、差がドンドンとついて来て、染ちゃんは最後の最後にいつも必ず一回多く回す。それとも、そういう決まりなのだろうか。
三、『歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』
花川戸助六 團十郎
白酒売新兵衛 梅 玉
三浦屋揚巻 福 助
同 白玉 孝太郎
福山のかつぎ 錦之助
朝顔仙平 歌 昇
口上/くわんぺら門兵衛 段四郎
通人 東 蔵
髭の意休 左團次
曽我満江 芝 翫
最後の演目は、これもお馴染みの助六。
團十郎さんと福助さんの組合せは、初めて観る。
いつ観ても、傾城達の衣装の豪華さは溜め息もの。五人並ぶ傾城の中に、中村芝のぶさんが入っているのも嬉しい。
團十郎さんがお元気そうで嬉しかったが、芝居は何となくテンポが悪く感じられて、江戸っ子のシャキシャキ度が薄まっている感じがした。それから、辛口ばかりで申し訳無いが、福助さんの揚巻は仇っぽさが強く出過ぎに感じられ、ナーンカ違うんじゃないのって思ってしまったのは、玉三郎さんの揚巻ばかり観て来た所為だろうか。
お正月に相応しい華やかな舞台面だったけど、芝居的にはイマイチだったかな。